旬をお届け 今月の成田山 ひとこと説法「今月のひとこと説法」

今月のひとこと説法

暁闇を弾いて蓮の白さかな 芥川龍之介
 東の空が明るみ、太陽が昇りはじめると、 蓮は、朝の静寂(しじま)に息を合わせるかのように静かに花弁を開き、神々しいほどの美しさを見せます。早朝に開いた蓮の花弁は、午後には閉じてしまいます。それを三日間繰り返した後、四日目の昼には花弁の全てが散り、中央の花托を残すのみとなります。
 蓮は花托が蜂の巣に似ていることから、古くは「ハチス」と呼ばれ、万葉集ではこの名が多く使われています。インド原産で、中国から仏教とともに、日本に伝来したと伝わります。
 仏教では、泥水の中から生まれて浄らかな花を咲かす蓮を、貪(むさぼり)・瞋(いかり)・痴(おろかさ)がはびこる人の世の穢れに染まらず、さとりを開かれたお釈迦さまの智慧と慈悲の象徴であると説きます。故に、観音さまの持物や須弥壇にお供えする常花、仏像の台座など各所に蓮が用いられています。

この泥があればこそ咲け蓮の花 蕪 村
 きれいな水の中で育った蓮は小さな花しか付けられず、逆に泥が多ければ多いほど大きな花を付けるといいます。煩悩(ぼんのう)渦巻くこの世なればこそ、お不動さまの御加護を信じ、御教えの実践によって、私たちの心にも浄らかで美しい大輪の蓮を咲かせたい夏です。

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