旬をお届け 今月の成田山 ひとこと説法「今月のひとこと説法」
江戸出開帳

今月のひとこと説法

コオロギやスズムシの声がいよいよ賑やかになると家々の柿が色づき秋本番を迎えます。柿は、『古事記』にも記述があるように有史以前から栽培されていた作物のひとつです。甘柿と渋柿の2種類ありますが、渋柿は渋味成分であるタンニンを抜かないと食べることができず、現在では疎まれがちです。しかし、渋柿からは漁網の防水や建物の壁や柱の防腐剤、防虫剤、染料、塗布薬などの生活の中で活用できる「柿渋(かきしぶ)」が摂れるため、昔はどの家庭でも植えられ、生活を支える必需品でありました。
真言宗をお開きになられた弘法大師(こうぼうだいし)の言葉に「解宝(げほう)の人(にん)は鉱石(こうせき)を宝(たから)と見(み)る」という一節があります。物の本質を見極めることのできる人にとっては、この世に無駄なものはないという御教えです。
今の日本は生産や物流が発達し、ちょっと買い物に行けば何でも揃う恵まれた国です。その反面、物質的に恵まれすぎて、古くから大切にしてきた「もったいない」や「物を大事にする」といった「心」を失いつつあります。
たわわに実り、色づく柿の様子に、先人たちが大切に受け継いできた「心」を再確認したい秋です。
(2017年10月1日)

このページの先頭へ戻る

今月の成田山

今月のひとこと説法