『智光』創刊60周年記念
第54回 成田山『智光』小・中学生作文コンクール
審査結果
本年は『智光』創刊60周年の記念大会です。課題・自由題合わせて3,723篇の作文が寄せられました。
ご応募くださいました各学校の皆さまに厚く御礼申し上げます。
厳正な審査の結果、各賞を決定いたしました。
最優秀作「成田山貫首賞」
課題
小学生 | 東京都杉並区立浜田山小学校6年 | 加藤優子 |
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中学生 | 茨城県古河市立三和北中学校2年 | 下川床遥 |
自由題
小学生 | 千葉県成田市立新山小学校4年 | 神之村翔 |
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中学生 | 成田高等学校付属中学校3年 | 藤田佳那子 |
準最優秀作「智光60周年特別賞」
課題
小学生 | 千葉県松戸市立高木第二小学校6年 | 岡みずき |
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中学生 | 成田高等学校付属中学校3年 | 木内希 |
優秀作「智光賞」
課題
小学生 | 大阪府寝屋川市立第五小学校4年 | 野澤優衣 |
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小学生 | 千葉県佐倉市立王子台小学校6年 | 山田小春 |
中学生 | 千葉県鎌ケ谷市立第二中学校2年 | 曽田風花 |
中学生 | 東京都江戸川区立瑞江第三中学校3年 | 瀧石みやび |
自由題
小学生 | 茨城県小美玉市立納場小学校2年 | 内田陽 |
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中学生 | 千葉県成田市立成田中学校1年 | 多田ひかり |
佳作「成田山賞」
課題・自由題
中学生(学年・50音順)
最優秀作「成田山貫首賞」 課題「夢」(小学生の部)
「作家になるということ」 杉並区立浜田山小学校 6年 加藤優子
私は、幼い頃から本を読むことが大好きだ。本は、楽しさや悲しみなど色々な感情を教えてくれる、魔法の道具だ。そんな道具を、いつの日か自分で作り上げてみたい、と私はこれまで数えきれない程思ったことがある。だから、私の将来の夢は、作家になることだ。
私が本に憧れを持ったきっかけは、私が二年生のときに読んだ「アラビアン・ナイト」という童話集だ。アフリカの西にあるセネガルから帰国して間もない頃に巡り合ったこの本は、今まで読んできた絵本とは違い、文字で埋め尽くされていた。それに加え、ページ数は余裕で二百を超えていた。当時二年生だった私は圧倒されてしまい、「本当に読み終わるのだろうか」と不安になってしまった。しかし、読み進めるにつれ、漁師と魔人のやりとりや、シンドバードの奇想天外な冒険物語に夢中になっていた。そして、この本から、私は、本を読む楽しさを知ることができ、心の奥深くで、「憧れ」が芽生え始めたのだ。
本を書くという職業は、医師や弁護士などと異なり、特別な免許は必要ない。しかし、多くの人に読んでもらうためには、読者を本の世界へと引き込ませることができる技術が求められる。そして、それを身につけるためには、日頃から本に触れることが大切だと思う。例として、私が憧れている作家:エドガー・アラン・ポーは、独特な文の構成で有名だ。私は、彼の本を読んで、読者が続きを読みたくなるような文の書き方や、心の底からぞっとさせるような恐怖を与える方法について学ぶことができた。他にも勉強になったことはたくさんあるが、将来作家になったときに、十分な知識があるように、これからも読書に夢中になる日々を送りたい。
一つ、忘れてはいけないことは、世界には本を読みたくても読めない子供たちがまだ沢山いるということだ。私は今、何不自由なく書店で本を買うことができている。しかし、日本ユニセフ協会によると、二〇二一年時点で、学校に通えていない子供たちが世界に二億四千四百万人もいたそうだ。さらに、私が二年間程住んでいたセネガルでは、本屋は一番大きい街に一、二軒しかなかった。私には、自分の手元に本がないことはとても想像できないが、世界には本を読むことができない子供たちが間違いなくいる。これは、作家になりたいと夢見ている私はもちろんだが、私以外の多くの人も知らなければいけない問題だと思う。
本は、私に沢山のことを教えてくれる憧れの存在だ。将来、作家になり、多くの人に私の本が行き渡るようにするためにはそれなりの努力と粘り強さが必要だ。しかし、私の本を読んで、私のように本に憧れを感じてくれる人がいるのなら、どんなに辛い道であっても、必ず乗り越えられるだろう。
最優秀作「成田山貫首賞」 課題「夢」(中学生の部)
「夢は『小児科看護師』」 古河市立三和北中学校 2年 下川床遥
私は、人のために働くこと、人の役に立つことが好きです。私が何かをすることで、誰かが笑顔になったり、喜んでくれたりするのを見ると、自分も嬉しくなってやりがいを感じられるからです。
また、子供と関わることも好きです。ニコッと笑う顔や思いっきりはしゃいだり、全力で甘えたりする姿がかわいくてたまりません。妹やいとこなど、年下の子供と遊んでいると、「小さい子の面倒を見るのが上手だね。」と家族や親戚からよく言われます。さらに、私は病気や怪我で苦しんでいる子供たちを少しでも楽にしてあげたい、助けたいと思っています。
実際に、私は小学生の頃にぜん息の治療のため入院し、看護師の方に助けられた経験があります。そのときの私は、入院が初めてだった事もあり、病室の雰囲気や独りで寝るという環境に慣れず、お母さんが帰ったあとの病室で泣いていました。そんなときに助けてくれたのが看護師さんでした。泣いている私に気づいて、ぬいぐるみを持ってきてくれたり、クスッと笑える話をしてくれたり。たくさんの患者さんがいて、やらなくてはいけないことが山程あるのにも関わらず、夜遅くまで私のそばにいてくれました。おかげで心がちょっぴり軽くなって、安心して眠れたのを覚えています。自分がしてもらったからこそ、今度は私が誰かにしてあげられるようになりたいと思い、看護師という職業を夢見るようになりました。
また、数ある中でも比較的に女性が多く活躍している職業だということも、看護師に魅力を感じる理由の一つです。世代を問わず、生涯続けられる仕事をもつことは、これからの時代に大切なことだと思います。「近い将来、今ある仕事の約四十九パーセントをAIやロボットが担えるようになるという予測がある」というテレビコマーシャルを見たことがあります。飲食店の接客や調理も、すでにAIやロボットがたくさん導入されています。それにより、人材不足の解消や人件費などの経費削減につながることも確かです。ですが一方で、私たち人間が必要とされる場所が減ってしまうという問題もあります。看護師は、患者さんの体調を管理するだけではなく、心のケアをすることも仕事の一つです。AIやロボットは、さまざまな数値を正確に管理することはできても、患者さんの心を理解しケアすることが果たしてできるのでしょうか。私たち人間だからこそ相手が思っていること、感じていることを理解し、寄りそうことができるのだと思います。
小児科看護師は今の私の夢ですが、本当にこの職業に就くのか、就けるのかはまだ正直わかりません。でも、「人の役に立ちたい」「困っている人を助けたい」という気持ちはこの先も大切にしていこうと思っています。
最優秀作「成田山貫首賞」 自由題(小学生の部)
「色々な働く人達」成田市立新山小学校 4年 神之村翔
ぼくは今、色々な仕事にきょう味があります。家族で出かけた時など働く人達の様子が気になって、つい見てしまいます。
先月、関西のおばあちゃんの家へ行くのに電車や新幹線に乗りました。駅員さんや車しょうさん、運転手さんだけでなく、駅弁屋さんや新幹線のそうじをしてくれる人を見かけたり、けいび員さんが車内を行ったり来たりしていました。どの人も一生けん命に仕事をしていて、かっこいいなと思いました。
大阪では、ユニバーサルスタジオにも行きました。そこでは、パレードでおどる人や、色々なアトラクションのスタッフ、グッズのお店の店員さんなど大勢の人が働いていました。その中でもぼくが一番心にのこっているのは、トイレをさがしていた時に近くにたまたまいたスタッフの人に場所を聞くと、後ろにいた他のスタッフの人達まで身ぶりを使って明るく楽しく教えてくれた事です。ぼくの方まで楽しくなってしまうような教え方はなかなかできないことだなと思いました。
大阪のくしカツ屋のおじちゃんも、笑顔で
「どこから来たの。」
と聞いてくれたり、
「楽しんでいってね。」
とサービスをしてくれたりしました。
そういう働く人達を見て、ぼくはどの人もカッコイイと感じます。
家に帰って来てから、旅行の思い出をふり返ると、色々な仕事をする人達の事も思い出して、その人達のおかげで楽しくすごせたと思います。
まだまだ、ぼくの知らない仕事もいっぱいあるのだと思います。
家族と時々テレビでメジャーリーグの応えんをします。ぼくは、大谷翔平せん手が大好きです。ホームランをいっぱい打つからです。外国でがんばっているのもかっこいいです。大谷せん手は、小さいころから野球が好きでたくさん練習してきたと聞きました。
テレビが好きなぼくは、芸人さんや、はいゆうさん、歌手にも好きな人がいます。その人達は、好きな事や得意な事を仕事にしたのだなと思います。
ぼくは、まだなりたい仕事が見つかりません。でも、こうして色々な働く人を見て、自分も今やっている事をがんばって、いつかこの人達のように人の役に立ったり、よろこばせる事ができるような人になりたいです。
最優秀作「成田山貫首賞」 自由題(中学生の部)
「音楽鑑賞について」 成田高等学校付属中学校 3年 藤田佳那子
私が今いちばん関心のあることは、音楽鑑賞です。それにはいくつか理由があります。
一つ目は、音楽には人の気持ちを盛り上げたり、落ち着かせたりする効果があるからです。アップテンポな曲を聴けば、明るい気持ちになれるし、バラードやラウンドミュージックを聴けば、気持ちを落ち着かせることができます。
二つ目は、音楽を聴くことで、集中して作業をすることができるからです。家で勉強していると、どうしてもテレビの音や台所の音が気になってしまいます。そんな時に、私は音楽を聴きます。音楽を聴くと、リラックスした状態で作業することができる上に、集中力や記憶力を高めることができます。勉強を始める時や、比較的簡単な作業をする時は、自分の好きな明るい曲を聴けば、単純作業でもモチベーションが上がり、能率も上がります。また、複雑な計算問題などの、頭を使う作業をするときは、クラシックなどの静かな音楽を聴けば、集中して取り組むことができます。
三つ目は、想像力や感受性を鍛えることができるからです。「この歌詞はどんなことを伝えようとしているんだろう。」や「この歌詞にある風景は、一体どんな景色なんだろう。」といったように、曲に出てくる風景や心情を思い描くことで、想像力を養うことができます。また、音楽のメロディーや楽器の音色は感情に深い関係がある脳の扁桃体を刺激します。それにより、豊かな感受性が育てられるそうです。実際に私も、祖母の影響でクラシックを聴いていたおかげで、感動しやすく、芸術に関心もあります。
四つ目は、語彙力や語学力を身につけることができるからです。曲を聴いていると、歌詞にある言葉や表現の意味を調べる機会ができ、知識を増やすことができます。また、洋楽などを聴くことで、様々な言語に触れることができます。兄も祖母も洋楽が好きで、祖母には中学に入ってから、私が英語に慣れたいと言ったときに、聞き取りやすく、わかりやすい単語が使われた洋楽を教えてもらいました。最近は、少し難しめの曲を、和訳と英訳を交互に見ながらがんばっています。
これからも音楽鑑賞を楽しみたいと思います。そして、音楽鑑賞をすることで得た知識や経験を今後の生活で役立てていきたいです。
準最優秀作「智光60周年特別賞」 課題「夢」(小学生の部)
「新薬を開発したいと思う理由」 松戸市立高木第二小学校 6年 岡みずき
私の将来の夢は、新薬を開発することです。なぜなら、人の役に立ちたいからです。
私が小学四年生のころ、ある本を読み、毒に興味を持ちました。毒は、人の役に立つ毒もあれば、人を殺してしまう毒もあります。
例えば、ヒ素は「足尾銅山鉱毒事件」や、「和歌山毒物カレー事件」など、沢山の人が被害にあったり、亡くなってしまった事件があり、ヒ素の危険性は知られるようになりました。ですが、「急性前骨髄球性白血病」という病気の治りょう薬として亜ヒ酸が使われるようになりました。一部のタイプの白血病にしか効かないようです。
また、イチイという毒樹は赤い実のなる植物です。アメリカでは、イチイを先住民が消毒薬として利用してきたといわれ、このイチイの仲間が、抗がん剤の薬になりました。現在は、卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、子宮体がんの治りょうに使用されるようになりました。
このように、毒が薬になることもあるのでおもしろいと思います。
それに加え、私が小学五年生の時、祖母はがんで治りょうを受けていて、つらそうな顔をよく見ていました。ですから、病気でつらそうにしている人や、苦しんでいる人の少しでも力になりたいと思う様になりました。
私は、毒のことにふれながら、新薬を開発したいです。そして、もし、私が開発した薬でみんなが笑顔で元気になってくれることを願って作りたいです。そのために、たくさん勉強して、一人でも多くの人を助けられるように、がんばります。
準最優秀作「智光60周年特別賞」 課題「夢」(中学生の部)
「明るい未来に向けて」 成田高等学校付属中学校 3年 木内希
私の将来の夢は、農業の明るい未来をテクノロジーの利用によって実現することだ。
私の住んでいる町は、農業が盛んだ。家の近くには田畑が広がっており、総面積の七〇パーセントほどを林野・耕地が占めている。中でも稲作は特に盛んで、古くから米は特産物として知られている。しかし近年、農家の高齢化が進み、農家を辞める人も出てきている。私の住んでいる町に限らず、日本全体が少子高齢社会となっている今、存続が難しいことなどから農家は減少し、二〇年前と比べると日本の農家の数は半分以下になっている。また、これらの問題が原因となって食料自給率の低下という新たな問題も発生している。他にも、異常気象の増加などによって、安定した収穫が難しいことなどから、現在日本の農業に危機が訪れているのだ。
私はこのことを知って、不安を抱いた。食料が不足する可能性があることだけではなく、私の大好きな日本の里山の風景や、食文化が失われてしまうかもしれないことがとても悲しかった。そして、どうすれば解決できるのかを調べてみると「アグリテック」という言葉に出会った。アグリテックとは、AIなどの最新技術を駆使して農業をIT化していこうとする技術や概念のことだ。その市場は世界中で拡大していて、日本でも農業の衰退が問題視される中、課題の解決手段として注目を浴びているそうだ。例えば、ドローンによる農薬の空中散布やAIによる作物の育成状況の判断など様々な取り組みがある。様々な企業の取り組みを見ていくうちに、自分も関わってみたいと思うようになった。
私は将来、AIやロボットについて勉強したいと考えている。日本の農業に関する課題を解決したいのはもちろんだが、世界中で起こっている問題にも目を向けていきたい。例えばアフリカなどで起きたバッタの大量発生による害虫問題などだ。日本とは違った問題もたくさんあるため、視野を広げていろいろな角度から考えられるようになりたい。また、農業に関する問題だけではなく、様々な分野での問題がテクノロジーの活用によって解決に近づくと考える。だから、一つの分野にこだわるのではなく、様々な視点から明るい未来の実現に取り組んでいきたい。